主催ライブ「TTMT」におけるステージ構成解説(デザイン・脚本編)

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カメレ音楽隊のステージディレクター、TSUBASAです。

さて、2/1に行われました

カメレ音楽隊結成10周年記念主催ライブ「TTMT」

無事に終宴することができました。この場をお借りして改めて感謝申し上げます。

 

共演者の皆様、会場にお越しくださったお客様、会場のスタッフの皆様

当日スタッフ:映像のあおいくん、チケット担当の高子くん、撮影係のてつさん

本当にありがとうございました。皆様のおかげです。

 

さて、昨年のこの時期は第1回ハルモネアに出演させていただき、

その時も同様の記事を書いていたわけではありますが…

(以下参照)

ハルモネアにおけるカメレ音楽隊のステージ構成(解説)
カメレ音楽隊のステージディレクター、TSUBASAです。さて、2/4に行われましたハルモネア。大成功でしたね!ラビットキャットさん、優勝おめでとうございます!そしてShimo-Renくん、最高のイベントを創っていただきありがとうございました

 

今回の主催ライブでは、私は例に漏れず構成(デザイン、脚本、演出、映像等)を担当しました。

自分の備忘録として記録、そして解説していきたいと思います。(ライブ前からちまちま文章は蓄えていた)

これまた長ーい記事になると思いますので、コーヒー紅茶と共にどうぞ。

 

ステージディレクターとは?

そもそも、自己紹介に書いておりました「ステージディレクター」

これは耳馴染みのない方が多いのではないかと思います。

詰まるところ、ステージの構成、MCの内容、ステージング、照明、衣装 等々を担当するいわば ”演出家” になります。

舞台に出る方であれば、きっとその重要性は理解しているかと思いますが、なかなかアレンジや発声と比べると、感覚や価値観に依存する部分も多いところでもあります。

今回は、この記事を読んでいただいた方に、私の仕事の一端をお見せできればと思います。

そして、ステージディレクターの地位向上にもつながれば幸いです。

 

また、前提としてカメレ音楽隊は、ハルモネアなどの賞レースや、通常の箱ライブ、地方の営業でも

お客様に楽しんでもらえることを第一に考えてステージを創っています

なので、そのマインドも合わせて知っていただければ幸いです。

 

「TTMT」のライブタイトルにかける想い

まずライブタイトルについて。今回はこんなタイトル&ロゴマークで展開をしました。

「TTMT」読み方は「ティーティーエムティー」

なんとなく察していただいたかとは思いますが、おしゃれなビルのトイレからインスピレーションをもらいました。

ポイントとしては以下の4点

 

①カメレ音楽隊だと一目見てわかるビジュアル・色使い

②キャッチーかつエゴサしやすい

③昨年ウケにウケた「PPAP」の活用

④グッズ展開のしやすさ

 

①はすぐお分かりかと思いますが、メンバーのイニシャル(Takuma、TSUBASA、mitty、たつお)を並べ、かつ普段の衣装と色を採用することにより一発で伝わることを目指しました。着想は先述のトイレのピクトグラムです。

ピクトグラムって、実は日本にゆかりがあるそうで…

 

国際交流に際してピクトグラムが初めて有効に使われたイベントは1964年東京オリンピックであり、その後の国際イベントでのピクトグラム使用の先駆けとなった(Wikipediaより引用)

 

まさにアカペラで国際交流を目指しているカメレ音楽隊を表せるなと思ったところでもあります。

 

②はライブが終わった後に、ムフフとエゴサをするために必須でした。

「カメレ音楽隊」というグループ名も意識して付けましたが、ネーミングにおいてエゴサのしやすさって非常に大事ですよね。

「TTMT」も、アルファベットの割にはあまり使われていないと調べでわかったのでちょうど良いなと💡

実際に、Xでカメレ音楽隊の名前を出さなくても「TTMT」の単語だけで一人歩きしてもらえました。

まだまだたくさんつぶやいてくださいね。感想をお待ちしています!

 

③昨年のハルモネアのステージの大オチを「PPAP」にしたところから、カメレ音楽隊にはPPAPのイメージがついていると思っていたので、その語感と似ているのは面白いなと思いました。

 

④は今回は実現できませんでしたが、Tシャツとかラバーバンドとかめちゃ作りやすそうだなあなんて思っていましたね。また機会があれば……!!!

こういうの作ってみたかった。。。

ちなみに、個人的なこだわりとして

【10th Anniversary Acapella Showという表記にしました。

映像をはじめとした視覚情報も合わせて感じていただきたいというのと

やはり色々な世界を体感することができる、創り出したいという想いを込めて「Show」という表記にしました。

ショーについては、過去にカメレ音楽隊の中で議論もされてきましたが、それについてはこちらの記事をご覧くださいませ。

ShowかLiveか
先日練習をしました。懐かしの駒場です。駒場カメレ音楽隊は一人を除いて東大のアカペラサークルLaVoce出身だったりしました。8号館に侵入しようとして、知らない人と結束するmitty。Jouney旅Boyは例によって変な遊びをしているんで、謎

 

カメレ音楽隊の3ステージについて

事前の宣伝動画でアナウンスをさせていただきましたが、今回カメレ音楽隊は3ステージ用意していました。

Canvaでサクッと作った

通常、ライブ前に手の内を明かすことはあまりないかと思いますが…

「何が出るんだろう???」よりも私個人としては

「あれがくるのかくるのか???ワクワク!」

の方が好きなんですよね。

 

後述する予備知識のお話にも通ずるところがありますが…

「お客さんが楽しむ用意・準備ができている状態」

これってエンターテインメントにおいては結構重要なのかなと私は考えています。

それでは1つずつ解説していきたいと思います。

第1部 CHAMELEON AIRLINE

はい、カメレ音楽隊の十八番でございます。

ライブ当日は、飛行機の音が流れた時点で客席がどよめいたとか。嬉しいです。

これは昨年のハルモネアのときにたくさん解説したので気になる方はこちらをご覧ください。

ハルモネアにおけるカメレ音楽隊のステージ構成(解説)
カメレ音楽隊のステージディレクター、TSUBASAです。さて、2/4に行われましたハルモネア。大成功でしたね!ラビットキャットさん、優勝おめでとうございます!そしてShimo-Renくん、最高のイベントを創っていただきありがとうございました

 

 

実はハルモネアの時とは少し内容を変えて、ちょっとした小ネタを入れました。

わかるひとにはわかるやつ(沖縄空港強調したりとか、タイムトラベルの準備突っ込みとか)

 

 

ここで1つ考えたいのは、先述の「予備知識」のお話

 

例えば、「沖縄空港の強調」は第1回ハルモネアの審査員講評でおしらさんに突っ込まれたところです。

このことを知らない人からしたら「なんで沖縄空港を強調してるの?てか沖縄空港なくね?」となりますよね。

この辺りは今回のお客さんの何割かは、ハルモネアを見ている確信があったのでこのネタをぶち込めたわけです。

(実際に当日は一部のエリアで分かった方がクスリとしてくれたので私は救われました)

 

これだけに限らず、私個人の考えですが

 

なんの説明もなしに知らない曲を知らないアカペラアレンジでライブで聞く

 

ということがあまり得意ではないのです。予備知識が0なので理解するのに結構エネルギーを使うからです。

もちろんこれは個人の価値観で、全部が全部というわけではないです。

あえて全部説明されたら逆につまらない、というのもうなづけます。

(洋楽の場合、これがこういう歌詞で、こういう世界観でなどいちいち説明されてもなかなかしんどいですよね…)

 

しかし、当日のお客様と演者との共通予備知識を意識して構成を考える

この作業は無視してはいけないと考えています。

カメレ音楽隊のようにさまざまな年齢層、アカペラ界隈以外の場で演奏するグループでは特に。

 

例えば、カメレ航空では1曲目に気球に乗ってどこまでもを歌うわけですが、この曲って実は意外と知らない人が多い。

なので最初に航空会社=空を飛んで旅行というイメージをしっかりとつけた上で

気球に乗って空を飛んでいくシュールを理解してもらうわけです。

 

2曲目の「津軽海峡夏景色」は元曲の知名度は抜群ですが

津軽海峡冬景色というベタが、いきなり沖縄音階になるというシュールさに

普通の人であれば、高低差寒暖差ありすぎて耳ブワー血管ジンジンになるわけです。

これをカバーするために青森空港から沖縄空港まで行くという情報が必要なわけですね。

 

3曲目は、もう無茶振りです。タイムトラベルってなんやねん笑 どう準備したらいいねん笑

PPAPと津軽海峡の再登場の2点押しですね。

 

これらの予備知識をカメレ航空では徹底したからこそ

皆様に楽しんでもらえるパッケージになったのではと手前味噌ながら思います。

 

第2部 カメレさんといっしょ

TTMTの前に、名古屋で行われた「りんどう」というライブにて初披露させていただいたパッケージです。

首都圏でやるのは初めてになります。(カメレ航空もフルVerの初披露も名古屋だった気がする)

 

名前の通り、教育番組のオマージュとなっております。

私が保育士をやっているということもありますが、

設定上、お客さんとインタラクティブな状況を作りやすい(双方向のコミュニケーションが取れる)

ステージができないかと考えてこの題材にしました。

 

台本を見てみましょう。

No 曲・MC・入場 時間 内容・台詞 備考
1 MC(SE① とっとこハム太郎OP(inst)) 0:45 暗転→明転きっかけでSE(とっとこハム太郎OP(inst))
※入場でいつものブンブンを歌わない。
SE開始15秒後に元気にステージ上に登場翔が話し始めたらSEの音量下げてください
翔:「みんな〜、げんき〜〜!?」
全員:「はーーい!」
翔「つばさおにいさんも」

美「みてぃおねえさんも」
竜「たつおおにいさんも」
卓「たくまおにいさんも」全員:「元気元気―!!」
【要確認】
・衣装は通常のカラフル衣装でOK。パンツだけ白・ベージュにした方が映えるかも【参考】
・全体のテイストは「おかあさんといっしょ」のオープニング参照
・わかる人はめちゃくちゃ刺さる演出
・カメレを知っているお客さんからしたら、最初の入場やらないのかーいという感じ
・ハム太郎のOPは乃木坂のovertureに酷似
翔「たくさーんの会場に来てくれた大きなお友達のみんな、今日はお兄さんたちと一緒に歌って楽しもうね!」
美「最初に歌う曲は「幸せなら手をたたこう」だよ!
大きなお友達のみんなも、ぜひ一緒に手拍子をして楽しんでみてね!」mitty ピッチパイプきっかけでSEフェードアウト
ピッチパイプは8小節くらいやる。翔「それじゃあいくよ!“幸せなら手をたたこう“」
・「大きなお友達」は比較的わかる人にはわかるワードなのでしっかりと発音
2 幸せなら手をたたこう 3:30 ・MCからシームレスで曲に入ります。
・曲が終わっても明るいまま
 

1曲目までの台本がこんな感じです。

先述の予備知識という面では、「おかあさんといっしょ(通称おかいつ)」は全日本人が経由しているバイブルなので

導入については問題ありません。そして最初のメンバー挨拶は本家を完全にコピーしています。

(私は2歳の娘がいるので、おかいつは現在リアルタイムで見ています)

 

この部分でのこだわりポイントは2つ

 

①入場SEでライブ始まりのワクワク感と教育番組感の両方を混在させた

②MCから1曲目までをシームレスに展開した

③お客さんが参加できる設えにした

 

一つずつ解説していきます。

①については、本家のOPをそのまま使うのはなんか違ったんですよね。カメレにはフィットしないというか…これはこれで素敵なのですが…

代案を考える時に、自分的にテンションの上がる+いっしょに盛り上がることができる入場SEってなんだろうと考えたんです。

 

ふと思いついたのは、アイドルのライブのOverture

曲が流れた瞬間ボルテージが上がって、ファン全員が一体となる。。ふと思い浮かべたのはこの曲でした。

乃木坂だったら生ちゃん推しでしたが、こういうSEいいなあと思っていました。

 

ここにいかに教育番組要素を足すかということで、ふっとよぎったのが、この曲でした。

なんとなく、曲自体が似ていると思ってしまったんです。

ハム太郎はリアルタイムで見ていたので、この曲がやはり頭のどこかの引き出しに入っていたんでしょうね(妹いたんで by 例えば炎)

ちょうど3部で「日本の太郎メドレー」を歌う感じだったので、いい伏線にもなるかなあと。

 

 

②については、カメレ音楽隊が2017年に甲州アカペラサミットで共演した「ぽっかれもん」さんの「ドレミファロンド」の入りが大好きなので、それを参考にさせていただきました。この曲入りって大発明だと思うんですよね!

私が教育番組風のアカペラ、というと最初に頭に浮かぶのは、このグループさんですね。

私は、なるべく曲の入りの部分で時間を取らないように工夫をしています。今回のステージの中では

♪気球に乗ってどこまでも

♪幸せなら手をたたこう

♪Evolution of Japanese Song

♪日本の太郎メドレー

はシームレスに入る工夫を入れていますね。各部の1曲目はすべてシームレス導入です。

 

カメレ音楽隊はMCからステージを始める関係上、曲にシームレスに繋げる方が違和感を感じなくなるんじゃないかなという勝手な想像ですが

MCすら1曲目と考えることもできるのかなと個人的には思います。

ちなみに、賞レースとかでも関係なく、カメレ音楽隊はいきなり曲から入ることはしません。

この時は流石に喋りすぎた(1曲だけだったから余裕かましてた)

 

③についてですが、1曲目に歌った「幸せなら手をたたこう」は先述のインタラクティブな要素の最たるもので

カメレ↔︎お客さん、お客さん↔︎お客さんの関係性が生まれるので、とても好きな曲です。

営業で歌うと間違いなく盛り上がります。最後通しでやるところは大きなお友達でもなかなか難しいのではないでしょうか?

 

ただ聞くだけではなく、またコールアンドレスポンスでもないお客さんと一緒に楽しめる試みとして

振り付けを一緒にやるのはかなりオススメです。

(アカペラ界における振り付けの始祖はゴスペラーズの「終わらない世界」で間違いありません)

 

次に進みましょう。

 

5

MC(SE③ シルエット博士のテーマ) 1:00 美「みんなは、しっかりと手を叩くことはできたかな?うまくできなかったお友達は、もっともーっと、練習してきてね!」
ここでSE開始(SE③ シルエット博士のテーマ)
竜「それでは次は、みんなのお楽しみ!“アレンジお兄さん”のコーナーだよ!」

翔「みんなで、“アカペラアレンジ博士”を呼んでみようね!それじゃあいくよー。 せーのっ、」
3人「『アカペラアレンジ博士ーーー』」美「あれれ?アカペラアレンジ博士がまだ来ないね?」
竜「みんなの声量が足りなかったからかな?」翔「もう一回大きな声で“アカペラアレンジ博士”を呼んでみようね!それじゃあいくよー。 せーのっ、」
3人「『アカペラアレンジ博士ーーー』」
※たくまは舞台袖でアレンジお兄さんの帽子(岡田備品)をつけて待機 。
卓「はーーーい!やあみんな!呼んだかな?私がアカペラアレンジ博士だよ!」
美「今日は博士のアレンジで歌えるの、楽しみだなあ!」
翔「博士、今日はどんな曲をアレンジしてくれるの?」卓「今日はね、みんなが大好きな、だんご●(ぼやかす)兄弟をアレンジしてみたよ!」
3人「だんご●(ぼやかす)兄弟??」
卓「そうだよ!みんなが大好きなだんご●(ぼやかす)兄弟を今日はみんなで一緒に歌ってみよう!」
美「(客席向いて)みんなも知っている曲だと思うから、一緒に歌ってみてね!」
翔「それじゃあ、だんご●(ぼやかす)兄弟、まず最初は。。。。
 「だんご1兄弟からいくよー!
このセリフきっかけでSE切る(フェードにしない)

※(ざわざわすると思うのでその間に)粛々と音取りをする→雰囲気を変えて緊張感を醸成する
・だんご●兄弟は、nといわずにぼかすことでなんとか面白さを出していきたい

・翔の「だんご1兄弟からいくよー」のあとにザワザワが来ると思うので、そこは長めにザワザワしてもらいしっかりと音を取る

6 だんごn兄弟 3:00 ・割と動かないで歌うで良いかな(リードは前に出る)
・曲が終わっても明るいまま
 

新曲「だんごn兄弟」の導入になります。個人的には今回のMCで一番好きなところなのですが…

 

こだわりポイントは3つ

①インタラクティブにお客さんが参加できる設え

②本家に準じたコーナーの再現

③だんごn兄弟のフリ  になります。

 

 

は、前半戦同様お客さんが世界の一部になれるような設えを作ります。

具体的にはみんなで「アカペラアレンジ博士」を呼ぶわけです。

これは割と教育番組ではベタな展開であり、「幸せなら手をたたこう」で会場はあったまっているため

お客様はきっとやってくれるだろうという確信はありました。

 

②ですが、「アカペラアレンジ博士」というと、かなりハードルを上げたネーミングかとは思います。

だけどTakumaのアレンジはマジですごいので、ネーミングはこれしかないなと!

(本家のシルエット博士をなぞるような感じですね。SEもそれにしました)

 

本家だと、それぞれのお兄さんお姉さんがテーマに沿ったキャラクターに扮します。今で言えばポーズマンやクレッピーとかですよね(わかる人は子育て世代ですね。共に頑張りましょう)

何かに扮したい!ということで当初はハットとメガネと白衣を考えていましたが、結局断念。私の私物のハットのみになりました。

 

③が一番こだわった箇所です。

もともと「だんごn兄弟」という曲が先行して存在していたので

いかにナチュラルに予備知識(フリ)を与えるかを考えなくてはいけません。

 

だんご3兄弟はおかいつ発の曲なので、このシーンで歌うこと自体に違和感はありませんし、

誰でも知っている曲なので予備知識も問題ありませんが、

いきなり変拍子にして歌うことは意味がわからないです。

 

ちょっと本筋からはそれますが

そもそも「だんごn兄弟」の発端は下記の流れでした。 

 

カメレ「だんご3兄弟を歌おう」

TSUBASA「だんご3兄弟を3拍子で歌いたい」

Takuma「だんご3兄弟を変拍子にして、どんどん団子を増やしていきたい」

  

Takumaの発想がぶっ飛んでいます笑

 

私はお笑いがめちゃ好きなのですが、お笑いではベタ・メタ・シュールが非常に大事なんだそうです。

今回はベタ・メタ・シュールに分けて考えてみましょう。

 

ベタ:「だんご3兄弟を歌いたい」by カメレ

メタ:「だんご3兄弟を3拍子で歌いたい」by TSUBASA

シュール:「だんご3兄弟を変拍子にして、どんどん団子を増やしていきたい」by Takuma

 

だんごn兄弟は期せずしてベタメタシュールが揃っていたわけです。

他にもカメレ音楽隊には同じような構図の曲「津軽海峡夏景色」がありますが、こちらも

 

ベタ:「津軽海峡冬景色を歌いたい」

メタ:「面白い編曲で普通の演歌じゃないやつで歌いたい」

シュール:「よーし、沖縄音階を使って途中から夏景色にしよう!

 

振り返ると、これもかなりぶっ飛んでるなと笑

だけど、このベタメタシュールを満たす曲って、軒並みウケがいいんですよね。おすすめです。

話を戻しましょう。

 

 

だんご3兄弟を変拍子で歌うことの予備知識(フリ)をここで丁寧にいれることにしました。

 

「だんごn兄弟ってなに?」

と言う疑問をお客さんに先に与えて

「まずはだんご1兄弟から行くよ!」

で回収をするという仕組みです。「あ、そういうこと!」みたいな。

 

n=変数とすぐにわからなくても、1からスタートという情報があれば、この曲は概ね楽しんでもらえるのかなと。

 

この曲は、新曲でちゃんと音を取りたかったので、

お客さんがザワザワしてくれることでその時間を稼げるのかなという目論見もありました。

見事にざわざわしてくれましたね。

 

台本の次に進みましょう。

7

 

MC(SE④ きらきら ぽん) 0:45 曲が終わって拍手がおさまってきたらSE開始

美「博士!素敵なアレンジをありがとう!つぎは、だんご11兄弟にも、チャレンジしてみたいな!」
竜「さあて、「カメレさんといっしょ」 次が最後の曲になりました。最後の曲は、みんながだーい好きな、日本のアニメソングを一緒に歌いましょう!」
翔「たっくさーんの曲が、古いのから新しいのまで出てくるので、みんなも知っている曲があったら一緒に歌ってみてね!」
卓「今日はみんなと一緒に歌ったり踊ったりことができて、とっても楽しかったよ!」
美「また、みんなに会える日をお兄さんもお姉さんも楽しみにしているよ!」
翔「それじゃあいくよ!Evolution of Japanese Anime Song!」
このセリフきっかけでSE切る(フェードにしない)

※スナップを打ち始める。ピッチパイプで音を取り演奏スタート

8 Evolution of Japanese Anime Song 7:00 演奏終了後暗転

だんご11兄弟というのは、結局3プラス8(4×2)なのでアレですが、なんとなく素数を入れたかったんですよね。(あれ、Rajatonあたり11拍子歌ってなかったっけ?)

うたのおねえさんがすんなりと変拍子を受け入れているところが個人的な推しポイントです「お前そっち側の人間か!」と

 

さて、そのあとはEvolution of Japanese Anime Songになるわけですが

ここも、割とえいやです。こどもはみんなアニメを経由しているという一点押しで進めるわけです。

今回の対象は主に”大きなお友達”な訳なので、刺さる曲も多くて楽しいですしね。

 

第3部 とても真面目なアカペラステージ

タイトルの通り、私が考えるとても真面目なアカペラステージです。

本当はアンチテーゼの意味で「私たちは皆様も耳馴染みのあるJ-POPをアカペラならではのアレンジで歌っているバンドです」とか言おうと思っていたのですが、お客様の属性を考えるとこのメタ視点面白くないなと考え却下にしました。結果よかったです。

歌う曲と流れは事前に決めていました。

 

♪日本の太郎メドレー

♪もののけ姫

♪スタジオジブリメドレー

♪上を向いて歩こう

 

台本を用意せず、ありのままのカメレ音楽隊をお見せできればなと思っていましたが

あまりにも自由だと収拾がつかないかなあと考え、各々に喋りたい内容を事前に用意しておき、

背面LEDに写真を写して話すような設えにしました。

 

曲順は決めていたので2番手のもののけ姫の前には

私がTCMCの話をして、そこで褒めてもらった曲、という連結にしようとだけ考えておりました。

 

ただ、ここだけの話。

時間の関係で諦めましたが、本当はもう少しエモいことを話したかった。

ここだけの話ですが、当時のメモを公開しちゃいます。

 

”私、今日で妻にプロポーズしてから丸5年なんです。で、5年前のその翌日がカメレ音楽隊のライブで、プロポーズの流れから、一緒に車で東京に向かったんですよね。正直言うと、ライブどころではなく笑 他にも色々とエピソードはあるのですが、私の人生の岐路のそばにはいつもカメレ音楽隊があったんですよね。これからはどうなるのかな笑”

 

エモエモ。やっぱ話せばよかったかな。妻も妻の父も来ていたし…

 

まあ、こんなオチのない話ができるのも、ぶっちゃけ主催ライブだからですよね笑

お客様は”カメレ音楽隊”を見にきていると言う前提・安心感があるからこそこれでもなんとか許されたのではないかなと。

 

カメレ音楽隊×8Lawのコラボステージについて

今回は8Lawさん、発明家の正体さんとのコラボステージをお届けしましたがこれも解説をさせていただきます。

 

まずは8Lawさんとのコラボレーション。初回MTGの時に8Lawさんの意見を色々とヒアリングさせていただきました。

その内容と、私のやりたい方向性をまとめたのが下記の図になります。

やはり練習時間という制約条件があるのでそこをクリアしないと現実味を帯びないというか。

当日集まって合わせるだけの練習量で成り立つにはどうしたら良いかというリアルな部分と、やりたいこととのせめぎ合いのもと

3匹のこぶたが狼とラップバトルをする

というステージが固まりました。

ここでいうとベタ・メタ・シュールは

 

ベタ:3匹のこぶたの世界観(こぶた 対 おおかみの構図)

メタ:狼がメタ視点で会話をする

シュール:こぶたが狼とラップバトルをする

 

なのかなあと。なかなか無茶振りではありますし脈絡という面ではこれまでのようなロジックはありません。

ですが、8Lawさんの魅力、人間力によって、これでも絶対に面白くなるという自信はありました。

実際に本番は私は袖でめちゃくちゃ笑わせてもらいました。

特に、ばやしくんの間を繋ぐホスピタリティ溢れるMCに対してのびんすーちゃんの一言

「木は黙ってろよー」

この一発がこのライブでの私の一番のツボでした。凄すぎた。

 

以下が台本です。

250111_8Law_ 脚本

あまり奇を衒うと、元々の支離滅裂なストーリーがさらに理解不能になるため

シンプルな導入、わかりやすいキャラクター作りを意識しました。

 

また、セリフの量があまりにも多すぎると8Lawさんへの負担も増えてしまうため

ある程度の説明は私のナレーションで賄うことにしました。これはカメレステージでよくやる手法ですね。

 

ラップバトルの歌詞については、作るのがものすごく楽しかったです。韻ってすごい。

エコロジー ↔︎ エゴロジー

IQ →  階級 →Thank You

この辺りは絶対に使いたかったワードですし、我ながら上手いなあと感じていたので

本番でゆうきくんが見事に決めてくれてフロアが沸いたのは我が事のように嬉しかったです。

この設定を快く受け入れてくれた8Lawの皆さん、そして8Lawのファンの皆様。ありがとうございました。

 

そして、コラボ曲「Lady Marmalade(3匹のこぶた版)」

アレンジの演奏許可を出してくれたAcapellagoの皆様もありがとうございます!

Acapellagoとは、2018年に台湾で共演させてもらいましたが、そのステージパフォーマンスに度肝を抜かれました。

そして、そのコンサートでの出演者同士の楽屋歌交換の際に歌ってくれたのが「Lady Marmalade」でした。

なんと彼らは楽譜を作っていないとのこと…びっくり

このアレンジで歌詞を変えて歌っても良いか?と確認をしましたら、こんなエールもいただきました。

 

「yah sure you guys can sing it 🙂

 

ありがとうございます。大切に歌わせていただきました。

コール&レスポンスの最高峰

 

カメレ音楽隊×発明家の正体

次は発明家の正体さんとのコラボレーション。

発明家の正体さんは、昨年のJAMやアカスピで共に戦った同志です。私は彼らが大好きです。

オリジナルソング1本で攻めるスタンスもそうですが、

何よりも彼らは人間として本当に素敵で、魅力をもっともっと知ってもらいたい!と思い

大変烏滸がましくはありますが、「これならその魅力をもっともっと引き出せる!」と自信を持ってラジオ形式とさせていただきました。

もちろんラジオ形式でなくても、彼らだけでも魅力は十分に伝わるのは間違いありません。それは会場にいた方ならわかったはず。

 

ただし、本人達から魅力を伝えるのと、第3者から伝えるのとではきっと魅力の伝わり方が違うというラジオパーソナリティとしての感覚と

オリジナル曲という性質上、しっかりと歌詞の世界観をお客様に伝えた上で演奏を聴いてもらいたいなという点から

この2点に重点を置いた台本を作成しました。

 

下記から進行台本を読むことができます。

241202_発明家の正体コラボラジオ_ 脚本

 

脚本は、実際に私がラジオパーソナリティをやる時のテンプレートで作成をしました。

本来のラジオ番組では、ライブ感を大事にするため、あまり細かく書かない方が良いのですが

出演される方、そして何より自分のために台本を作成しています。正規ルートは手元に置いておきたい。

 

台本にはリアルタイムでお便りをもらう設えがありましたが、これは時間の関係で割愛しました。

結果として、発明家の正体さんメンバーの寒いとこ自慢というほんわかトークを引き出せたのでよかったです。

(ちなみにメンバーの出身地はほとんど知りませんでした。本当にいい順番で当てれたなあと(仙台→山形→秋田→北海道))

あと、秋葉くん最高です。

 

この内容につきましては、実際に私がパーソナリティを務めるラジオにて放送予定です。

今のところは、2/12 19:30~ FM EGAO 76.3Mhz で放送予定です。お楽しみに!

(三河地方以外の方は、YouTube「FM EGAO」で検索。もしくはリッスンラジオというアプリでも視聴可能です)

 

あとの工夫としては、やはりラジオ番組という世界にお客様を導くために

ラジオの代名詞「オールナイトニッポン」で使われている「Bitter Sweet Samba」を最初だけ使用。

これが流れると、ラジオ好きならもちろん、知らない人でも「ラジオ!」とすぐに理解できるかと。

音で予備知識を伝えるのも非常に有効ですね。

 

ラジオ中でもお話ししましたが、彼らの曲はWeb上で聞けます!

YouTubeチャンネル(コビーくんのいるアカペラグループの曲が聞けます!):https://www.youtube.com/@%E3%82%B3%E3%83%93%E3%83%BC-c3g

サブスク(コビーくん):https://www.tunecore.co.jp/artists?id=526668

 

ライブ全体の順番について

今回は、ゲストが4組、カメレが3ステージ。独立コラボステージが1つと計8パートありました。

これをどの順番にしようか、というのを色々と考えました。

1行ずつ、意図を書いていくと

 

1.カメレ第1部(カメレ航空):一番自信と知名度のあるパッケージでまずは会場を盛り上げたい

2.My Neighbor:体力のあるうちに、しっかりとジブリの世界観に浸って癒されてほしい

3.カメレ第2部(カメレさんといっしょ):癒されて体力回復した後に童心に帰ってもらい、8Lawで盛り上がる準備体操をしてもらいたい。

4.8Law:盛り上がって盛り上がって、お客様に体力を一度使い切ってもらいたい。

休憩:8Lawの後はやはり余韻がすごいのでここしかなかった。

5.亜歌:休憩終わりで、一度TTMT世界から離れたお客さんを一撃でTTMT世界の中に引き戻すことができる。

6.8Law×カメレ:引き戻された世界の主題がカメレ由来だったと再認識してもらう。

7.発明家の正体:熱を持ちつつもライブの後半戦でお客様が疲れているので力を入れずに楽しめるようなチルな雰囲気にする。

8.カメレ第3部:主催だから許しておくれ

 

とこんな感じです。コラボの置き所は最後の最後まで悩みましたが、結果としてこれが最善であったと考えています。

3時間超えのライブでスタンディングなので相当お客様は大変ではないかと思っていましたが

「あっという間だった!」との感想を多くいただき、改めてゲストグループさんの凄さを思い知らされました。

本当にありがとうございます。

 

ここまで書いて思うこと

カメレ音楽隊には、ライブで話した通り6つのスローガンがあります。

「2.The “尊重”」について…

 

今回のTTMTの企画には私は誰よりも情熱を注ぎ、時間と思考を費やしてきたという自負があります。

そして、それはカメレメンバーも理解してくれていると思います。

なぜなら今回の主催ライブは、ほとんど私のやりたい形で進めさせてもらえたから。

もちろん、部分的には話し合いを重ねましたが、私の意見を優先してもらったことの方が圧倒的に多かったです。

 

これは虫の良い解釈ですが…

私がメンバーを信頼し、メンバーも私を信頼してくれているからこそ、この企画は成り立ったのではないでしょうか。

そして、この”信頼”の相互作用こそが「尊重」なのではないでしょうか。

 

 

「The “尊重”」とは、頑張る仲間を認め、応援し、共に進むこと

 

10年ともに歩いてきたからこそ、このスローガンを再度大事にしたいなと感じた出来事でした。

 

※他のスローガンが気になる人はコメントしてねー!

 

次回予告

ここまでが、ステージ上での脚本や演出プラン、そしてそれに込めた想いの解説でした。

この部分だけで、すでに1.2万文字ほど。まるで卒論並みのボリュームですね。

しかし、これはまだ前半戦にすぎません……。

 

後半戦では、今回の私の裏テーマでもあった

「生成AI」を用いたライブ装飾

について解説していきます。

※映像、背景画像、BGM、その他もろもろ

 

私は、このライブの企画にあたっては

自分の仕事とアカペラ演出を、どのように融合させるかを考えてきました。

 

この後半戦では、そのプロセスや工夫を詳しくお話ししていきますので、ぜひお楽しみに!

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