カメレ音楽隊のステージディレクター、TSUBASAです。
さて、2/4に行われましたハルモネア。大成功でしたね!
ラビットキャットさん、優勝おめでとうございます!
そしてShimo-Renくん、最高のイベントを創っていただきありがとうございました!
カメレ音楽隊のステージについて、たくさんのご感想をいただきありがとうございます。
多くの方にストーリー構成を褒めていただき、楽しんでいただき、嬉しい限りです。
そんな構成について、今日はネタバラシというか、どういう考えだったのかを書いてみたいと思います。
(10,000文字くらいある(簡単な卒論くらいの量)ので心して読んでください。)
とそのまえに…
ステージディレクターとは?
あまりアカペラグループのポジションで”ステージディレクター”って聞かないですよね?
詰まるところ、ステージの構成、MCの内容、ステージング、照明、衣装 等々を担当するいわば ”演出家” になります。
舞台に出る方であれば、きっとその重要性は理解しているかと思いますが、なかなかアレンジや発声と比べると、感覚や価値観に依存する部分も多いところでもあります。
今回は、この記事を読んでいただいた方に、私の仕事の一端をお見せできればと思います。
そして、ステージディレクターの地位向上にもつながれば幸いです。
また、前提としてカメレ音楽隊は、ハルモネアなどの賞レースや、通常の箱ライブ、地方の営業でも
お客様に楽しんでもらえることを第一に考えてステージを創っています
なので、そのマインドも合わせて知っていただければ幸いです。
【(注意)以下、カメレ音楽隊のハルモネアのステージのネタバレです…】
ハルモネアのステージ台本を公開します!
ハルモネアのカメレ音楽隊のステージは
「航空会社」をテーマに架空の会社「カメレオン航空」を想像起業しました。
今回はこれを一貫したテーマに据えて、私がステージの構成を考えたわけですが、
ここに至るまでの経緯と、構成時に考えたことを解説したいと思います。
(アカペラの技術とか、アレンジのこととかは一切書いていないです。)
まずは、台本(ハルモネアさんに提出したものを一部修正)をご覧ください。
まずはですね。これだけのセリフを覚えて大緊張の舞台で言えた私を褒めてください笑
ちなみに、他のグループさんで台本を運営さんに提出したグループさんはいなかったそうです(そりゃそうか)
台本は4列で構成しており左から
「内容」「時間」「セリフ、演出」「備考(伏線)」となっております。
それでは解説に移る前に、今回のハルモネアの前提条件を整理していきます。
【演出におけるルール】
●マイクの種類について
持ち込みマイク以外は全てワイヤレスマイク
●ループステーションなどの機材は使用可能。
ただし機材によっては対応出来ない可能性あり。
●パフォーマンス中にSEやBGMを使用してもよいか
完全アカペラの音源であれば使用可能。ただし音源の再生と、再生する機材の用意は演者側で行う事。
(iPhoneやPC、サンプラー等の機材を使用するなど)
※音響さんに事前に音源を渡し、流してもらうのはNG。
●照明要望について
照明要望はお受け出来ます。
細かい指定がある場合は、タイミングがわかりやすいよう
前後の歌詞やMCのセリフなどをなるべく細かく書いてください。
というところでした。
ここまではレギュレーション的な前提条件になります。このルールの中であれば何をしても良いということです。
ある程度縛りが決まってくると、考える速度がアップしますよね。お仕事でも同じかと思います。
それでは、演出的な前提条件、お客さんの予備知識(考察含む)を考えていきましょう。今回はカメレ音楽隊に特化した前提条件(一部考察含む)になります。これは後ほど解説する伏線にも直結する内容になります。
【演出的な前提条件】
●ハルモネアの大会コンセプト
アカペラのテクニック的な要素だけでなく、より音楽的・芸術的な視点で審査をし、アーティストとして優れたアカペラグループを輩出する(公式より引用)
●2次審査審査員評
・ハモが足りないが気にならないくらい『魅せ方』を知っている
・津軽海峡冬景色フルで聞きたい(おしらさん「津軽海峡冬景色、最後まで聴きたかった」たつお「沖縄音階で歌うVerがあります」)
・編曲の戦略がしっかりと考えられている。
・やりきっているから見やすい。見ていて楽しい。素敵
・「コメント慣れしてるじゃん「3、4」でとってねって」
【お客さんの予備知識(考察含む)】
・ハルモネア本番は4番目(開始して2時間くらい)→中弛み、聞き疲れが起きる順番。
・8Lawさんの後(アップテンポ系)の後でいかにお客様を最初に掴むか?
→会場はあったまっているが、8Lawさんの余韻がかなりあるはず。
→しっかりとカメレの世界に入ってもらうために丁寧なMCが必要(寿司で言えばガリが必要)
・お客さんのほとんどが審査動画を見ている(おふざけ戦隊、おもろうまい)→カメレ音楽隊は変わった、楽しいグループという認識(楽しむ下地はできている)
・お客さんはオールスタンディング
・アカペラを知らないお客さんも会場には多くいるだろう(Xで調べた感じ)
といった感じで、事前に出ている情報をまとめました。
やはり一番意識したのは出順のところ。8Lawさんの後って絶対やり辛いじゃないですか!笑
(当日も、舞台袖で聞きながらビクビクしていました)
だけども、2次審査の再生回数が多かったことから、
きっとお客さんは私たちのことを知ってくれている!
という自信を持ってステージに挑むことができました。ありがとうございます。
さて、ここまでが前提条件(考察)になります。
あとは、私の趣味の紹介をさせていただくと
私はお笑い(漫才、コント)を愛してやまない人間です。本当に愛してます。
特にラーメンズや男性ブランコのコントが好きです。
彼らの作るコントは、属人性を排除した「脚本」「構成」でありながら、彼らの「演技力」によって「最高の作品」になっています。
(M-1 2019の塙さんのミルクボーイ評のコント版とでも言いましょうか。)
生み出されたコントの数々、本当に大好きです(ラーメンズの「日本語学校(Long版)」「読書対決」、男性ブランコの「ライト兄弟」は傑作)
このことをハルモネア当日、8Lawのゆうきさんに熱く話したら、諸々の経緯も踏まえて
「激イタお笑いヲタク」というお褒めの言葉をいただきました。(オタクではなくヲタクだそうです。最高です)
そんなお笑いを愛する私が台本を考えるので、やはりお笑いから学んだことが多用されています。
まずは、笑いの基本構造となっている
「フリ」と「オチ」
を最初に考えました。これはステージの額縁にもなります。
このフレームワークの質を上げるために、前提条件がかなり重要な位置づけとなります。
そして上で紹介した前提条件は、すべて「フリ」にしていこうと考えました。
それでは、具体的なコンテンツの中身に移ります。
【曲の選択】
カメレ音楽隊は、やりたい曲をやる!というスタンスで活動しています。
つまり、最初からステージの台本ありきで曲を用意することはありません(そりゃそうか)
なので、元々のレパートリーを組み合わせて、15分の流れを作る必要があります。
今回のステージは、着想として
『PPAPと津軽海峡夏冬のマリアージュ』
がありました。
これを思いついた時、私は自分のことを
天才だと思いました。
津軽海峡(青森)=りんごの名産地
津軽海峡(沖縄)=パイナップルの名産地
PPAP=Pen Pineapple Apple Pen
これを閃いてしまったので、これが大オチになることは必然です。この大オチは船で言えば竜骨に当たります(私たちはこれをワンピースのW7編学びました)
おのずと1曲が決まります(『津軽海峡冬景色』)
この時点で、2次審査のおしらさんのコメントの前提条件(以後、フリ)のオチをつくることができました。
そうすると、PPAPをどうするか問題が発生します。
実はカメレ音楽隊には、PPAPがオチになる曲が2曲あります(2曲ともわかったら立派なカメレファンです)ですがここでは、どちらを持ってくるか、というところの余幅を残しつつ、次の検討に入ります。
とりあえず、大枠が決まったところで、この2つをどのようにしたらステージの中で脈絡を持って自然につながるかを考えました。
今決まっている情報を噛み砕いていくと…既出のフリに加えて
・青森県と沖縄県(立地的な曲の中での変化)
という情報が入ります。
この2地点を結ぶ必然性を持つ何かが必要になりますよね。この辺りから
「よし、2つの拠点を結ぶ旅行にしてみよう」
と考え始めました。
しかし、カメレ音楽隊には、旅客の移動手段の題材にできるレパートリーが3曲あります
(3曲ともわかったらとんでもないカメレファンです)
どの曲も前提条件「お客さんはオールスタンディング」のオチにできる(だって空路は気球だから立って乗るし…)ので、迷いました。
(空路か、海路か…)
迷ったので、ここでもお笑いの定石を用いました。
コントの大事な要件として
「見る人がいかに早くその世界の中に没入できるか?」
があげられます。この点からいくと
一般の方が圧倒的にイメージしやすいのって海路よりも空路ですよね?
ということで、全体のテーマを「空路による旅行」
曲としては「気球に乗ってどこまでも」
を入れることが決まりました。
さて、2曲が決まりました。
あと1曲、先ほど宿題にしていたPPAP問題ですが、
設定がはっきりしてきたのでもう「Evolution of Japanese Music」をやるしかないかなと。
だって、時代を遡る時間旅行にしちゃえばいいんだもの
もう1曲だと、私の頭ではいい繋ぎが浮かびませんでした。(別設定のステージで使いたかったのもあり…)
また、前提として2次審査で歌っているので皆さんも安心して展開を読みながら聴くことができますよね。
【曲のネタバレ問題について】
「2次審査でも歌っているからネタがバレている」
このネタバレ問題について、私は事前公開された曲を本番でも演奏するということには肯定的です。
カメレの場合は特に顕著ですが、ネタのワクワク感、びっくり感、アハ体験が損なわれるのでは?というご意見もいただきました。
確かにそれもありますが、事前にネタを知っていることから生じるワクワク感もあると思っています(くるぞくるぞ的な)
今回の会場を考えた時に、前提条件としてスタンディングなのでお客さんの同士の距離が近く
いわばこの同じワクワク感、ソワソワ感が伝染しやすいとも考えていました(一種の共犯者感みたいな)
これって、ネタがバレていない状態だと、各個人の内側にワクワク感がとどまってしまうことが多いんですよね。
それよりかは、今回は、お客さん皆で連帯してワクワクしてもらう方のがいいのかなと思いました。
(今回、アーカイブのチャットを見ていて思いましたが、令和まで行ってしまうような展開も面白かったと思います。ただ、それは編曲的な範囲の問題もあるので、今後Takumaに聞いてみようかな。PPAPの後に入れるのもかなり難しいと思いますが…笑)
これで、3曲のセットリストが決まったというわけです。
【セリフの作成】
台本を見た方はわかるかと思いますが、本番と話した内容がちょっぴり異なっております。
これは、当日の様子や雰囲気に応じて臨機応変に削ったり足したりしています(単純に頭から飛んだのもあります、気球だけに)
私はM-1が好きなのですが、今年の令和ロマンの優勝は色んな意味で感動しました。「出順によってネタを変えるつもりだった!」なんてすごすぎますし…そんな技術と意識の高さが優勝を手繰り寄せたのかもしれませんね。今回のカメレのステージについても、そのマインドがありました。
今回のハルモネアの場合ですが、前提条件にもありましたが、8Lawさんの後だと事前に知らされていたので、上記の通り対策を考えることができました。結果として、なんとしても寿司で言うところの「ガリ」(口内リフレッシュ剤)を入れなくてはいけない!という結論になりました。
8Lawさんが中トロ、大トロのような強い食材とだとすると、我々って雑魚寿司なんですよね(©︎オズワルド)
なので、しっかりと会場をリセットするために、お客さんには強めのガリをたくさん噛み締めて貰わなくてはなりません。
(ただし投入しすぎると舌がピリピリするので、その塩梅も難しい…)
そのために、あまりアカペラ界隈でやる人はいませんが
なかなか歌に入らない
という手法を用いました。
実は、1月のステージでも10分の尺に対して歌う前最初の2分喋りまくるというステージをやりました(アカスピ社会人決勝)
よくある賞レースで、全バンドガッツリ重重でくることを想定したので、
お客さんの疲れとかを加味し、ライブ全体のMCタイムにしたかったという意図でこのような構成にしました。
(意外とこれが好評でしてねぐふふ)
なので、今回も最初の”つかみ”についてはものすごく考えましたね。
こちらが台本の冒頭になります。入場からMCとの絡みの部分は審査対象ではなかったので、割と自由度が高かったです。
先述の通りここで、いかに「ガリ」を大量投入するかが鍵となります。(本番では、FugaさんのMC、登場動画に最高の「ガリ」をもらうことができました。)
入場は、2次審査をフリとして同様のムーブを行いました(くるぞくるぞー感)への一つの回答にもなりますね。
ここでは私は舞台を大きく使って、注目を意図的に集めていました。
なぜなら、ここで衣装(ハット)や果物(パイン、りんご)をモニ前にバレないように置かなくてはならないからです。
ここの考え方は、¥マジックの
「ミスディレクション」
というテクニックですね。(私たちはこの言葉を「黒子のバスケ」で学びました)
まさに、PPAPの大オチのタネを仕掛けるわけですから、バレてはいけません。
ただ、アーカイブを見て今思えば
私の動線は下手、上手、センター、配信の方の順番の方が良かったかなあと反省しております。
このあと、MC Fugaさんとお話をするのですが、非常に場を和ませていただけました。最高です。
それでは、「PERFORMANCE TIME」に入っていきましょう。
ここでは、セリフの中にたくさんのフリを盛り込むことで、注意をそちらに引きつける狙いがあります。
注意を惹きつける際には、固定概念を少し揺さぶるという手法は非常に効果的だと考えているので
ここの部分ですね。順番に解説していくと
1.「PERFORMANCE TIMEです!」のあとに音に入らない。というところでまず印象付けします。
2.「アカペラ劇場」という言葉で、なんとなく普通じゃないことをするんだと印象付け。
3.暗転をすることで、世界が変わったという印象付け
4.MC時と声色を変えることで世界が変わったということを印象付け
5.「カメレオン航空」というNewワードで、世界観の説明
6.ハルモネア航空というタイムリーワードでひと笑い
7.青森行き、青森空港ということで「津軽海峡冬景色」を彷彿とさせる
8.約3分という曲尺の説明(お客さんの、曲を聴く準備作り)
9.MCから間髪入れずに曲に入ることで、1~8の準備をした状態で演奏に入ることができる。
ざっとこんな狙いがありました。ね、意外と細やかでしょ?
・立ったままで乗れる機体
・気流の乱れ
については、分かりづらさも加味し、今回は割愛しました(気流の乱れは後ほど登場しますが…そういうことです笑)
1~8が全てのお客さんにヒットするかと言えばそうではありませんが、
前提条件にある、「しっかりとカメレの世界に入ってもらうために丁寧なMCが必要」を満たすためには必要数かなあと思います。
これだけやっても本番では、前に歌った8Lawさんの熱量、余韻は払拭できなかったなあというのが正直な感想です。
それだけ8Lawさんはお客さんの心を掴んでいたのだなと…本当にすごいです。
さて、「気球に乗ってどこまでも」が歌い終わりました。
今回のキーとなるMCパートになります。
ここまでくると、お客さんがカメレのステージを
「なるほどこういうシステムね」
と感じてもらえるようになります。トムブラウンさんや、東京ホテイソンさん、フースーヤさんなどの1くだり目みたいな感じです。
ここも順番に解説していくと
1.「長らくのフライト」は別に長くないというツッコミ待ち
2.曲が終わると空港に到着するというシステムの理解
3.PPAPの伏線①りんごの登場(召し上がりシステムの理解)
4.2月のライブに相応しい青森県の状況の説明
5.「津軽海峡」という言葉を用いた確定演出
6.「津軽海峡」+「沖縄県」ということで2次審査の「津軽海峡夏景色」の確定演出
ということになります。
「4.2月のライブに相応しい青森県の状況の説明」については、実際に機内でCAさんが到着時に話される言葉遣いをイメージしております。
「津軽海峡」というキーワードは入れなくても十分にフリオチになるのですが、
今回は丁寧さを大事にしたかったので、しっかりと入れております。
一方、前提条件のうち、「お客さんのほとんどが2次審査動画を見ている」「おしらさんの2次審査コメント」によって
かなり確定演出の会場の反応を感じることができました。舞台から見ても、お客様がニヤニヤしているのを確認できました。
さて、津軽海峡冬景色は狙った通りウケました。最後のMCになります。
ここは正直、えいやーで設定を組んだところ(時間旅行にしちゃえばいいんだもの)なので、リアリティとかはそっちのけで
いかにお客さんボルテージの上がった状態をキープするかが大事かなと考えておりました。
順番に解説していくと
1.PPAPの伏線②パイナップルの登場(召し上がりシステム)
2.空間から時間への概念の変更(じゃあ今までの短時間運行もその技術を使っていたのでは?)
3.いつのまにか縄文時代にいるという雑さ
4.お客さんを煽るというノンリアリティ
コントでも、聖人だと思っていた人が経過とともにズレてきて変な人になるというのはよくありますが…(その逆も然り)
ここは正直、理ではなく、情のMCになりました。
ちなみに尺が20分であれば、ここに挿入して、明確な脈絡を持たせることができる曲があります。(カメレファンの方、ぜひ想像してみてください。)
最後のMCになります。
正直言って、ここは設定に準じてプロのCAとして!最後まで冷静に振る舞うつもりでしたが…
ハルモネアでは盛り上がって、あまりにも気持ちがのってしまい、ぶち上がった状態でセリフを言ってしまいました(涙ぐんでました)
もう、お客さんの乗せ上手!!!
動画を再度確認しましたが、最後の礼もままならない感じでしたね笑
というところでセリフの解説でした。
【世界観の構築】
空路での旅行なので、おおよそ設定も航空会社、キャストはパイロットとCAになりますね。
そして既出の通り、コントの大事な要件として「見る人がいかに早くその世界の中に没入できるか?」は非常に重要な要素となります。
これは歌の聴覚的な要素もそうですが、やはり視覚情報が非常に大部分を占めます。メラビアンの法則で言えば情報伝達の55%は視覚によるものです。
なので、世界観を伝える上で視覚は非常に重要なところになります。視覚情報として、いかに航空会社・空港感を出すかということを考えた時にできる最たるものは、やはり
・衣装
かなあと思います。
もちろん残りの45%も大事にしなくてはいけないので
・BGM(聴覚)
・言葉遣い(文字情報)
にも意識を置きます。
衣装は、コスプレ衣装を買う余裕はなかったため、パイロットとCAに分けて制作しました。
パイロット衣装は、黒スーツをベースとして、
・袖の線 ※制作過程は後ほど公開されるのかな?
・パイロットハット
・徽章
この3要素でパイロット感を演出しました。
CAは普通の黒スラックスにベストでしたが、お揃いの担当カラーネクタイを装着しました。今回唯一のカメレカラーポイントです。
mittyは、ネクタイよりもスカーフの方がCAさん感が出るかなと思い、緑のスカーフにしました。
会場の遠いところの方に伝わったかが難しいなあと思っていましたがどうでしたでしょうか?
前方の席とか、配信の方にはしっかりと伝わったかなと思います。
また、言葉遣いは先ほどのセリフの通りですが、CAさんのアナウンスを意識して話すことを心がけました。
BGMについては、前提条件にあった通り、完全アカペラ音源なら良いとのことだったので、事前に録音をしたものを再生しました。
David Foster の I Will Be There with Youという曲ですが、これは私の前職時代の出張の思い出の曲でもあり使わせていただきました。
本来はJALの機内への搭乗時のみの音楽ですが、いろいろ検討した中でアカペラに編曲しやすいものにしました。
ちなみに、飛行機の離陸音は、ルールに則り全て私の息で再現しましたが、これはかなり苦慮しました。
HBB関係者が多くいるだろうなかで、これを流すのはマジで緊張しましたね。。。
とまあ、台本以外にも世界観のためにいろいろと気を遣っていたのだと知ってもらえれば幸いです。
【ステージング】
カメレ音楽隊は、決して踊りの上手いグループではありません。
なので、めちゃくちゃ動くステージングとかは結構難しくて。お客様に必要最低限伝わるためのステージングを心がけています。
今回でいえば、津軽海峡冬景色は奥行きを使って立体感をだすために後ろに一旦下がって前に出る。
涙そうそうでは、仲良し感を出すために3人で肩を組む。
Evolutionでは、かごめかごめで実際に回ってみる。UFOでは本家の振り付けを入れてみる。
そんなに難しいことはやっていませんね。
もし、効果的に見えていたのであればとても嬉しいところです。
一方、全然お客さんから反応なかったのですがかごめかごめの「後ろの正面だ〜れ?」で後ろから私がニョキっと生えてくるのですがお客さんは凪だったので、爪先立ちしていてウケなくて寂しいきもちでした笑 気流が安定しすぎましたね
あ、ちなみにステージングについて、私は妹に相談することもあります。
妹は現役バリバリのダンサーなのですが、今度ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」に出るそうなので
もしも行かれる方は、私に似た顔のダンサーを見つけてみてください。
【私の個人的なこだわり】
私はM-1が好きです(2回目)
今年のチャンピオンは、Rabbit Catさん同様トップバッターで優勝した「令和ロマン」さんでした。
そんな「令和ロマン」さんのボケを担当されている髙比良くるまさんは、自分の見た目についてこう語っています。
要約すると、通常通りの自分だとボケだと認識されないから、伝わりやすい見た目を意識している。ということです。
私、これに感銘を受けまして、ちょっと前から、そういう意味でのわかりやすい見た目を意識してみました。
具体的には、ハルモネアに向けて、舞台の遠くから見てもファニー感を出すために
黒縁丸メガネ、5:5のおでこだし、笑顔 にしていました。
私、裸顔だと目が大きくなくて、すこし切れ気味で、口も小さいので安心感ない顔なんですよね笑
カメレのステージで一番喋る私が、雰囲気作りを担っているので、お客さんが安心感かつ笑ってもいいんだという空気を作ろうと意識していました。
(本当はメイクさんとか、衣装さんとかにお願いしたいのだけども……)
あと、ステージングについて、私個人のこだわりとしてはメドレーの元アーティストによって少し足の動きを寄せたりしています。具体的にはヘビロテからライジングサンまでの間に、内股ステップからガニ股にしていくなどです(細かっ)
他にも個人でやっていること結構あるので探してみてください。
【おわりに】
まずは、こんなにも長いブログを読んでいただきましてありがとうございました。ハルモネアのカメレのステージを見られた方に、カメレ音楽隊のステージへの意識の高さが伝わっていただければ嬉しい限りです。
ステージ構成は、正直考えている時間が一番楽しいです。無限にアイデアが出てきます。
ただ、それをメンバーに伝えて理解してもらう作業
実際にお客さんに披露して伝わりきらなかった時
結構大変なところも多かったりします。今回の台本でも最初を「劇場」にするか「コント」にするかの言い合いがありました。
あとは、カメレのように曲を先行でやっているグループである以上、クリティカルヒットになる着想を得ることって、ものすごく難しいです。(今回の『PPAPと津軽海峡夏冬のマリアージュ』は奇跡的に浮かびました。だって天才だから)
着想を得るためには、常日頃から面白そうなことにアンテナを貼り、新しい知見を得ることも大事ですね。あと散歩
この記事では、あくまで
「私はこうやって考えてステージを作った」というだけの話です。
読んでどう感じるかも人それぞれかと思います。
だけど、ここは主張しておきたいところとしては
「これらの取り組みは全てお客様のためにある」ということです。
ハルモネア、一番高い席は確か7,000円ですよね。
これだけのお金と時間と体力を払って、私たちをはじめとするグループの演奏を聴きにきてくれる。
(海外からお越しになったお客様もいると伺いました。)
目的が私たちではなかったとしても、私たちの演奏中にもお客さんは居続けるわけです。
これって本当にすごいこと、ありがたいことだと思うんです。
カメレ音楽隊のように、ストーリー仕立てにしなくても良いです。
しかし、全体の構成を考えるうえで、お客様のことを考えるのは絶対必要な作業です。
MCひとつとっても、その時間にもお客様は曲と均等に時間を払っているわけです。
自分たちのステージの魅力を最大化しつつ、お客様の立場に立った構成を考えてみましょう。
カメレ音楽隊のステージとこの記事が、考えるきっかけになれば幸いです。
以上、カメレ音楽隊のステージディレクター TSUBASAでした。
もっと深掘りして聞いてみたいという方は、XのDM等でご連絡ください。
ちなみに、Top画はカメラマンのテツさん(@tetsupiyox)に出演後撮影してもらいました。最高です。
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