カメレ音楽隊のステージディレクター(兼MC兼3rd Chorus)TSUBASAです。
ステージディレクターって何?
という方はこちらをとりあえず読んでくださいませ。

というわけで今回は26年3月8日に大阪に呼んでいただきまして
おてんきくん・無浪丸くん共催LIVE「一歩」に出演させていただきました!
関西のライブハウスで演奏するのはこれで2回目になるわけですが、個人的には並々ならぬ想いがありました。それがこれです。

「主催のおてんきくん・・・卒業旅行諦めてライブ主催したんだって」
私なら100:0で卒業旅行を選ぶわけですが(12年前に沖縄とヨーロッパ行きました)
それを投げ打ってまで主催ライブを開催し、そこのゲストに呼んでいただいたわけです。
そりゃこの期待に応えなくてはいけませんよね!ということでいつも以上にステージ構成に時間を割きました。
なんといっても今回のライブ「一歩」は1グループあたり30分も尺があるわけです。
通常アカペラの尺といえば、各種大会の10分、スタンダード尺の15分、長めの枠でも20分と相場が決まっております(当社比)
(私の経験だと、解散ライブを除けばKaJAMとか、プロがゲストの時くらいしか30分枠は見たことないかも)
ここで30分の時間を各グループに割くというところに、主催のおてんきくん、無浪丸くんの意図があり、
その延長線上にゲストとして呼ばれたのが、我々カメレ音楽隊——そう理解しました。
プレッシャーですね!
ということで本題です。
「30分いかにお客さんを飽きさせずに楽しませるか?」
この目的のもと、まずは前提条件から詰めていきたいと思います。
前提①:ライブハウスの形状
今回の箱は肥後橋VOXXという場所でした。ステージの高さは低めなのでお客さん距離近い、あとシッティングかな?(チケットも枚数制限ある)

ちなみに、カメレ音楽隊はプロお墨付きでライブハウスのような、スナックのような雰囲気の会場が相性が良いそうです。

また、会場フロアは比較的広く、かつ席数も決めているとのことだったのでゆとりを持ってライブを楽しめる感じなのかなと思いました。
前提②:ライブ全体の時間
先述の通り、1グループ30分の尺があり、今回は7グループが出演(Pomme beatsさんはO.Aで15分)するので、単純計算で3時間は超えるわけですね。もちろんライブの途中途中に休憩が入るわけですが、それでもなかなか聴く側にとっては大変そうです。
私は基本、ライブを観に行かないタイプなんですが(プロもアマも)が、数少ない参戦するライブでも(たとえ大好きなさだまさしのトーク半分歌半分のコンサートであっても)3時間って結構疲れちゃうんですよね。
※さだまさしのライブは調子がいい時は途中にMCと称した小噺が始まります(長くて30分くらいの)もはや歌よりもこっちがメインだと個人的には思っています。御年73歳…どうなっているんや(さだまさしで語れる人募集中です)
前提③:登場する順番の話
カメレ音楽隊、ライブを10年以上やってきておりますが、実はトリで演奏する経験って多くありません。覚えている限り2、3回目です。
今回はゲストということで最後の出番にしていただきましたが…共演者の皆さん本当にうまくて、その後に演奏するの本当にしんどい笑
特に今回はJAMとかをはじめとする大会に出られているグループさん多くて、困っちゃいました
ちなみにカメレ音楽隊の前に演奏したのはBack Pack Duckさん(以後BPDさん)ですが、彼らすごいですね。
事前勉強で聞いてきましたが、コーラスってこんなにカッコよくハモれるんだあと感心しきりでした。
グルーブ感もあるし、会場めっちゃ盛り上がっちゃうんじゃないの?さらに追加情報として…

彼らも卒業イヤーで、かつ現役ラストステージが「一歩」なんだとか!
アッパーな曲を歌う彼らですから、輪をかけて会場爆盛り上がりですね。
その後に歌うんだから、演奏するの本当にしんどい(2回目)
前提④:カメレ音楽隊の知名度
自分たちの知名度や人気を客観視して言語化するのは、なかなか恥ずかしいことではあります。
しかし、演出を考える上では非常に重要なファクターになります。
例えば、日本のトップスターである福山雅治さんのライブでは、彼が手をさっと挙げただけで、椅子に座っただけで客席は黄色い声援で一杯になります。
マイケルジャクソンに至っては立っているだけで失神者が出たとも言われています。
これは彼らへの観客からのベクトルが異常に大きいからこそ成り立つわけです。
いわばアーティストの全てを受け入れたいと願って、その場に集まっているわけです。
カメレ音楽隊はどうでしょうか?
認知度:アカペラ界隈ではそこそこ(ハルモネアとかで知名度ちょっと上がった)、西日本での露出は少ない
認知内容:4人組、混声、面白いアレンジ、MV、ベテラン、ハルモネア出てた、なんか飛行機飛んでた
人気:あるのかな?でもいつも応援してくれるファンがいます。
こんなもんです。だからと言って卑屈になるわけではなく、自分たちを目的に観にきているお客さんが多くないということを認識しておく必要があるわけです。これを認識することでMCの方向性が定まってくるのです。
前提⑤:主催からのハードル上げ
ステージ構成どうしよっかなぁと考えている最中、グループラインにて主催のおてんきくんからのお達しがありました。

え、漫才挟むの?
それって関西だとデフォなの??
これには震えましたね…
関西の洗礼なのかと…
前提⑥:関西(特に大阪)という土地
関西に住んでいる人はNHKの代わりにお笑い番組を見る民族だと有力筋から聞きました
エレベーターに入っておならをすればみんなが一気に突っ込む文化も兼ね備えているそうです
そんな土地ですから、きっとお笑いIQは高いでしょうし
漫才コントとコント漫才の違いは100人が100人説明をできるのでしょう。知らんけど
以上の前提条件をもとに、ステージの構成を考えていきます。
こういう枠組み(前提条件)の部分をしっかりと押さえることは非常に重要だと私は考えます。
お客様が紅茶を求めているのに、コーヒーはおろか味噌汁を出してしまうなんてのは客商売としては御法度だからです。
さて、枕はここまでです。本題へ移りましょう
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台本大公開
ここからは実際に使った台本を分解して説明していきます。
まずは、最善を尽くしていただきました肥後橋VOXXのスタッフの皆様に感謝申し上げます。
正直、アカペラグループのライブに台本を持ち込んで「リハは15分しかありませんが、この通りにやってくださいね!💦」
というのは失礼なお話ですが、台本は快く受け取っていただうことができました。
それだけではなく、カメレ音楽隊ってリードが入れ替わり立ち替わりが多いので、他のグループと比べ、より大変かと思いますが、対応いただきまして本当にありがとうございました!
こんな感じで、カメレ音楽隊の台本は私が作っておりますが、お客様がどこでどんな反応をするか(笑いであればどれだけの笑いの量か、どれだけの長さか?)というのを事前に想定をしています。あかね噺風に言えば「作品派」なわけです。
笑いどころを決めているのは、お客様の笑いをMCによって阻むことを極力したくないためです。
もちろんこの通りにお客様が反応することはないのですが、想像以上に盛り上がったり、意外とウケなかったりもします。
しかし、これはMCに限らずですが、ある程度の想定しておくことが、話すときの余裕につながります。
もちろん一言一句同じようには喋れませんが、ある程度の道筋をグループ内で共有しておくことで、メンバーも次の曲に向けての準備運動・心の準備ができるという利点もあります。
というわけでパートごとに分解して見ていきましょう!
登場〜1曲目

カメレ音楽隊が入場SEを使うことは稀です。いきなり暗転から歌い始めることもあんまりしません。
これにはいろいろな意図があります。
・最初に名前を名乗るのは礼儀である
・前のグループの余韻を残した状態で歌うのが怖い
・会場の空気をつかんでおきたい(お客様の表情とかを観察したい)
今回の場合は特に前のグループの余韻を残した状態で歌うのが怖いというのがありました。
カメレ音楽隊はハモリやリズムで勝負するグループではないので、まずは我々の世界の入ってもらいつつ、お客様に強めのガリを口に含んでいただく必要があります。
ガリについての解説はこの記事でも紹介しています。

少し話は変わりますが、カメレ音楽隊は最近こども(未就学児〜小学生)の前で演奏する機会が多くなりました。
そこで演奏する曲を増やしていく中で、最強のガリ曲を手に入れたのです。
その曲こそが「幸せなら手をたたこう」arranged by よっさん
この曲、こどもにめちゃくちゃウケますが、歌ったら最後、この曲がステージのピークになってしまうので用法要領を守って正しく使う必要があります。そこまでの流れを全てを水に流してしまうほどの最強のガリなのです。
しかし今回は、以下の条件に合致したため1曲目に持ってくることに決めました。
・BPDのあとの出番=空気を変えておきたい
・長いライブのトリ=お客さん聞き疲れているのでリフレッシュになる
その上で、MCからシームレスに曲に繋げる必要があります。
空気をガラッと変えたいのに、暗転して、音を取って「歌うぞ!歌うぞ!」という雰囲気出すとお客さんが下手に緊張してしまうからです(特にゲストなので)
なので照明は冒頭MCからつけっぱなしです。MCの延長線上で歌い始める。いわばミュージカルなのです。
(ミュージカルといえば、私は劇団四季の子役オーディションの最終選考まで行ったことがあります)
シームレスに演奏することについては賛否両論あるかと思いますが、意図と手法が合致していれば効果的になり得るというのが私の考えです。
1曲目後MC〜カメレ航空の導入
さあ、今回の一番悩んだのがここです。
せっかくゲストとして呼んでいただいているのであれば、我々が出せる最大出力を出したい!
となると、私たちの十八番(オハコ)であり、ハルモネアでも披露させていただいた名作『カメレ航空』を関西でも7年ぶりに再演したいと思いました。
ただ、この作品は15分程度なので、今回の尺だと時間が余ってしまいます。
つまり前後にこの作品とは違うストーリーを入れなくてはいけないのです。
パターンとしては3つです。
①冒頭にカメレ航空を持ってきてその後15分別のストーリー
②枕を長めにしてフィニッシュをカメレ航空にする
③枕+カメレ航空+締め
下に行けば行くほど難しそうな感じですが、やはりガリを挟んでおきたい!ということで①を選択肢から外し…
②か③で迷いました。
ただ考えていくうちに、大阪・お笑いのテクニックを盛り込めるのではないかという仮説に辿り着き、勇気を持って③を選びました。
その上で、1曲目に強力なガリを持ってきて、その後カメレ航空にインするという流れに決めました。
さて、ではどのようにカメレ航空に入っていくのか?
ここでも前提条件にありました通り、大阪ならではの特徴を活かしたいと考えました。
「漫才コントとコント漫才の違いは100人が100人説明をできるのでしょう。」→ここです
普段からお笑いに精通している方々相手であれば、このノリが伝わると思ったのです。
今回のカメレ航空インについてはコント漫才ならぬ”コントアカペラ”として
「コントイン」
の形式を採用しました。

私は愛知出身のお笑い素人です。小さい時に触れたお笑いは土曜12時からの吉本新喜劇くらいのもの
なので結構研究して、わかりやすいコントインの例を探しました。
たどり着いたのはこちら、ジョックロックのコントインです
最近のジョックロックはこのコントインでずらしていくのが鉄板ですが、この時はずらさずに丁寧にコントインをしております。わかりやすい
ただこれはプロの技術を持っているからこそ成り立つものであるので、それに加えてもう一つコントインしたとわかりやすい演出を入れました。それが暗転です。キングオブコントや、舞台でやるコントは、暗転中に転換して小道具などを置いたりして、明転になったらコントが始まる。みたいな仕様が多いです。
二つのお笑いの定石を足し算して、よりお客様にテーマが変わったということを伝えたいと考えました。
うまくいくかはわかりません。ただ、仮説を立てて挑戦してみるというのは、年を経てなおも大事なことです。
さあ、ここまできたらあとは鉄板のカメレ航空をやるだけです。
カメレ航空については下記でしっかりと解説をしてあるので気になる方はご覧くださいませ。

カメレ航空が終わったあとの流れ〜5曲目「上を向いて歩こう」
さあ、十八番のカメレ航空が終演しました。
手前味噌ではありますが、非常にこの作品はよくできています。
だって青森ー沖縄、りんごーパイナップル、Pen-Pineapple-Apple-Penですからね。
何度でも言いますが、この構成を考えた時、私は自分のことを
天才だと思いました。
ただ、今回の一歩のステージでは、ここからまだ時間が10分ちょいあります。
残りをどう畳んでいくのか?新たに考えなくてはいけません。
まず歌う曲ですが、最後の曲は「日本の太郎メドレー」とすでに決まっておりました(理由は後述)
じゃあそこまでの繋ぎをどうするのか?もう1曲は何にするのか?
一度ここまでやった曲を整理してみましょう。
M1:幸せなら手をたたこう
M2:気球に乗ってどこまでも
M3:津軽海峡夏景色
M4:Evolution of Japanese Music
M5:x
M6:日本の太郎メドレー
このように並べてみると、結構元気な曲多いんですよね。(あと色物)
しかもM1で散々お客さんと体を動かしてそのあと無理やり飛行機に乗せてと、過剰なエネルギーをお客様に使わせております。
そろそろお休みさせてあげても良いかな?
ってところですよね。ということでバラード調の曲を入れることにしました。
だけど、カメレ音楽隊が持っているバラード曲って結構少ない。
♪糸
♪上を向いて歩こう
♪月夜愁
♪PPAP(X’mas ver)
♪Valon-1
こんなもん。
多分この時点で上の2曲に絞られます。
ではなぜ「上を向いて歩こう」にしたのか?
今回のライブタイトルが「一歩」だったからです
ライブタイトルの「一歩」にはいろいろな意味があると思っていて
例えば今回の出演者は1回生〜4回生+17回生とかですが、一歩ずつ成長していく過程を見せたい とか
新しくアカペラを始める人の第一歩を後押しする とか
卒業シーズンの新たな一歩目の門出を祝う とかとか。。。
きっと、どの一歩でも、皆同じくその足で一歩ずつ前に進んでいくわけです。
それを、この曲なら表現できるかなと選びました。
後述しますが、ライブタイトルが違ったらPPAP(X’mas ver)で擦っても良かったわけですが…
MCの内容については多くを語りませんが、すべてノンフィクションです。もう大変なんですから
6曲目「日本の太郎メドレー」を選んだわけ
これは一番のネタバレになるのですが…
お笑いのテクニックである「天丼」を用いました。
4曲目の「Evolution of Japanese Music」の最後にPPAPで落としたわけですが
日本の太郎メドレーでも、まあ、オチがあるわけです。だってピコ”太郎”なんだもの(曲中に気づいた人がちらほらいましたが)
ちなみにこの「日本の太郎メドレー」はカメレ音楽隊の曲の中では珍しく、たくまやあおいくんの編曲ではありません。
編曲者は「なつおさん」という、東京大学LaVoce(つばさ、たつお、たくま所属サークル)の一期上の先輩です。
「なつおさん」が組んでいた「Continental Taros」というグループのレパートリーでもあった「太郎メドレー」をカメレ音楽隊が今歌わせていただいております。個人的にずっと歌ってみたかったやつなので、楽譜をいただけた時はとても嬉しかったです!
(私のアカペラの原点の一つで、当時から憧れでした。LaVoceの先輩で刺激を受けたのはピノキオ、Timeless Vie、PHONIC、外部だとV.I.P、Graziosso、背徳の薔薇 等々)
ただ、「Continental Taros」が歌っていたのは2010年ごろ、ということでPPAPは存在していません。
カメレの方で、僭越ながら最後付け加えさせていただきました。に
最後に
ということでおてんきくん&無浪丸くん主催ライブ「一歩」のカメレ音楽隊のステージ構成解説を終わります。
今回はライブに招待をいただきまして、本当にありがとうございました。
ライブでもお話しした通り、少しカメレ音楽隊は休憩期間(育休ともいう)に入りますが、
また関西の皆様の前で演奏する機会を心待ちにしております!


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